2016年7月
来訪場所:東京都台東区浅草
観光名所の浅草寺から徒歩圏内の妖怪伝承の地。いずれも浅草寺にゆかりがあるのが興味深い。
花川戸公園の姥ヶ池(浅茅ヶ原の鬼婆)
浅草駅から徒歩10分ほどの花川戸公園には、
旅人を襲って金品を奪っていた鬼婆の伝承が残っています。
旅人を襲って殺しながら暮らしていた鬼婆の話は各地で伝わっており、
伝承の結末は旅人が逃げおおせたり、正体がオオカミだったり、「今でもいる」なんて
恐ろしいものまでありますが、この浅茅ヶ原(あさじがはら)の鬼婆は、
割とリアルな話で伝わっています。
用明天皇の時代(585年あたり)、浅茅ヶ原と呼ばれる原野に一軒のあばら屋があり、
日が暮れて困った旅人がよく尋ねていた。あばら屋には老婆と娘が暮らしていたが、
旅人が寝静まると、石枕で打ち、旅人を殺して金品を奪っていた。
娘は老婆の行いを諫めていたが、改められることはなかった。
老婆の殺した旅人が999人に達したある日、一人の稚児があばら屋を訪れる。
老婆はいつものように寝込みを石で打ったが、それは自分の娘であった。
娘は稚児の身代わりになり、老婆の行いを改めさせようとした。
老婆は娘の死を嘆き悲しみ、近くの池に身を投げ、後に姥ヶ池と呼ばれるようになった。
出典:『観世音霊験一ツ家の旧事』
あばら屋を訪れた稚児は実は浅草の観音様であったと言われているようです。
現在、公園には池としての形はないようですが、姥ヶ池の石碑がたてられています。
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