2020年9月
来訪場所:東京都葛飾区 見性寺
妖怪伝承にしては比較的現代に近い時代の話です。
明治のはじめ、まだ常磐線が開通して間もない頃、汽車は1時間に1本しかないはずなのに、
通過する本数が増えている、と亀有周辺で噂が広まったそう。
しかし、その噂がぴたりと止み、ある日村人が線路で死んでいるたくさんの狢を発見しました。
村人たちは狢たちが汽車に化けて走っているうちに、本物の汽車にはねられてしまったのだろうと、
見性寺に塚を建てて供養したそうです。
汽車に化けて遊んで(?)いるうちに本物にはねられてしまったというのが、
不憫ではありますが何とも可愛い気がします。
よく伝承に出てくるこの「狢(むじな)」ですが、一般的にはアナグマのことを指すようです。
ただし、古来よりアナグマ、たぬき、ハクビシンなどを混合して「狢」と呼ばれていたとも
言われています。
アナグマって実際によく見たことはありませんが、たぬきより若干、顔つきが鋭い感じですね。
さて、この狢の供養された見性寺ですが、亀有駅のすぐ近くにあります。それがまたリアルですね。
亀有駅の交番(あのこち亀の両さんの派出所のモデルになった交番です)側の出口を出て、
右にまっすぐひたすら進むと見えてきます。
現在は狢を供養した塚自体はありませんが、狢塚の石碑は境内にひっそり残されています。
すぐ近くには亀有アリオもあり、にぎやかな亀有駅周辺ですが、
境内はやはり静かで雰囲気があります。
妖怪伝承が残る地は地方が多いのかと思いきや、都内でもこのようなスポットが見られるのは
大変嬉しい。むしろ、かなりはっきりした伝承が伝わっているケースが多い気も。
たしかに、書物に書き留めるなど、文化が発達した地域の方が、
より、後の時代に伝わる伝承の数は多いのかもしれません。次はどこに行こうかな。
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