汽車に化けたが本物に轢かれてしまった狢

妖怪に会える地
出典:Wikipediaより

2020年9月  

 来訪場所:東京都葛飾区 見性寺

妖怪伝承にしては比較的現代に近い時代の話です。

 明治のはじめ、まだ常磐線が開通して間もない頃、汽車は1時間に1本しかないはずなのに、

通過する本数が増えている、と亀有周辺で噂が広まったそう。

 しかし、その噂がぴたりと止み、ある日村人が線路で死んでいるたくさんの狢を発見しました。

村人たちは狢たちが汽車に化けて走っているうちに、本物の汽車にはねられてしまったのだろうと、

見性寺に塚を建てて供養したそうです。

 汽車に化けて遊んで(?)いるうちに本物にはねられてしまったというのが、

不憫ではありますが何とも可愛い気がします。

 よく伝承に出てくるこの「狢(むじな)」ですが、一般的にはアナグマのことを指すようです。

ただし、古来よりアナグマ、たぬき、ハクビシンなどを混合して「狢」と呼ばれていたとも

言われています。

 アナグマって実際によく見たことはありませんが、たぬきより若干、顔つきが鋭い感じですね。

出典:Wikipediaより

さて、この狢の供養された見性寺ですが、亀有駅のすぐ近くにあります。それがまたリアルですね。

亀有駅の交番(あのこち亀の両さんの派出所のモデルになった交番です)側の出口を出て、

右にまっすぐひたすら進むと見えてきます。

現在は狢を供養した塚自体はありませんが、狢塚の石碑は境内にひっそり残されています。

すぐ近くには亀有アリオもあり、にぎやかな亀有駅周辺ですが、

境内はやはり静かで雰囲気があります。

妖怪伝承が残る地は地方が多いのかと思いきや、都内でもこのようなスポットが見られるのは

大変嬉しい。むしろ、かなりはっきりした伝承が伝わっているケースが多い気も。

たしかに、書物に書き留めるなど、文化が発達した地域の方が、

より、後の時代に伝わる伝承の数は多いのかもしれません。次はどこに行こうかな。

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