2014年8月
来訪場所:千葉県山武郡横芝光町 広済寺
妖怪というか地獄の話です。
鬼来迎(きらいごう)って?
鬼来迎とは「鬼舞」とも呼ばれ、千葉県広済寺に伝わる仏教の因果応報の理法を説い
た、全国で唯一の古典的地獄劇です。1975年(昭和50年)には重要無形民俗文化財の指
定を受けています。
上演日は毎年8月16日で、駅からは遠く、私が行った時は行き帰りにタクシーを
利用しました。
上演内容は、地獄の責め苦の様子を描いた「地獄譚」と広済寺の成り立ちを描いた
「広済寺縁起譚」で構成されています。
地獄譚
閻魔の裁き所、賽の河原、地獄の釜ゆでなどの地獄が描かれますが、
最後に亡者が追い込まれ、突き落とされる「死出の山」では観音菩薩様の救済が
描かれ、幕となります。
ちなみに冒頭で鬼婆が登場しますが、この鬼婆に赤ちゃんを抱いてもらうと健康に
育つという言い伝えがあるそうです。
(定かではないですが、抱っこした時に赤ちゃんが泣いた方がいいらしく、
鬼婆が必死に大きな声を出して脅しにかかってるのが印象的でした)
広済寺縁起譚
(ここは写真を取り損ねているのでいイラストで・・・)
夜道に迷った石屋和尚が「妙西信女」というまだ新しい墓に気付き、
そこで和尚は鬼が娘の亡者を鉄棒で責める様を見るところから場面が始まります。
娘の父母である椎名安芸守と顔世が墓参りに訪れたため、
石屋和尚は自分のみた地獄の光景を夫婦に話します。
地獄での娘の責め苦を知り、それが自らの罪のためだと悟った夫婦は、
和尚の教えに従い、広済寺の建立を約束します。
そこで供養を続け、娘は救済されるという物語になっています。
元々はこの伝承を伝え聞いた運慶・湛慶・安阿弥の三人の彫刻師が、
鎌倉からこの地を訪れ、菩薩の大悲のありさまを来世に残したいという石屋和尚の
願いもあり、閻魔大王、倶生神、祖老母、黒鬼、赤鬼等の面象を彫刻し、
8月16日に演じてみせたのが始まりだそうです。
この広済寺、建立が1196年なので、そのころから上演されているとすると、
824年間も演じ続けられているということに・・・。
由来がしっかり分かっているということも驚きです。
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